稽古指導

武道修行の目的は、体力を養い心と技を磨くことです。
道場では誠実、礼節、勇気、克己心、等を意識する機会が多くあり、稽古を通して心身を鍛え、バランスのとれた心体の発達を促します。
技術面では手足を使った打撃技を中心にした攻防を習得していきます。それは護身術としてはもちろん、健康法や精神修養の方法としても非常に優れています。
道場での稽古を大きく分けると「伝統稽古」と「組手稽古」の二種類があります。
稽古を行う際は、何を身に付けるための稽古なのかということを理解しておくことが大切です。

礼儀作法(日本式・空手式)

道場内では一般社会と同様に礼儀作法やマナー等の規律や規則があります。
それは人としての徳性を養うためのものであり道徳、倫理といった内的規範を身に付ける為にあります。
道場では技の前に礼儀作法を学びます。
礼儀作法とは、自分を心と体の姿勢を整えながら他人の行動や感情に対する“気遣い”や“思いやりの心”を形としてあらわしたものです。
そして社会的な地位や立場に対する正当な敬意をあらわすものです。

●日本式礼法…会釈/敬礼/最敬礼

私達の道場では、日常生活で使われるお辞儀や挨拶なども稽古、競技会、審査科目の中に取り入れています。
日常使う、挨拶言葉、返事、三つのお辞儀(会釈・敬礼・最敬礼)といった礼儀作法の修得と実践を通して心を整え姿勢を正すことを大切にしています。

  • 挨拶の意味
    挨拶は仏教用語で、禅の問答を交わすことから来た言葉で、「挨」も「拶」も本来は、押すという意味、また、「挨」には、心を自分から開く、「拶」には、迫る、近づくとい意味合いがあります。
    相手に対する敬意、親愛の意を表す行為でもあります。
    日本式礼法のもとになっている小笠原流礼法で最も大切にされているのは姿勢です。
    お辞儀には、頭を下げ自分の首を差し出すという動作の意味から、自分には敵意がないということを示します。
    おじぎする際の角度によって意味の度合いが変わります。
    お辞儀の仕方にも呼吸法があり、呼吸に動作を合わせると滑らかで美しいお辞儀になります。
    また、相手の呼吸に合わせてお辞儀することで、それが「心を通わせる」ことに通じます。
  1. 立ち礼について(会釈・敬礼・最敬礼)
    • 会釈(屈体・15度)
    • 敬礼(屈体・30度)
    • 最敬礼(屈体・45度)
      ※礼三息(吸う息で上体を傾け、吐く息の間そのまま留め、吸う息で上体を起こす)で行うとゆったりとした礼になる(深い敬意を表わす時)
      ※礼は、体型や腕の長さにより個人差があるので、角度に拘らなくても良い。

  2. 座礼について(指健礼・拓手礼・双手礼)
    • 指健礼 (会釈・屈体15度)
      お先にと挨拶する時(後輩や目下に対して)、上体を少し屈体し、両手を膝の両側に下し、肘を軽く伸ばし指先だけを畳(床)につけた礼
    • 拓手礼(敬礼・屈体45度)
      同輩に対する礼、屈体した時、手が横前に出て、自然に手首から指先にかけて「ハの字」形になる礼
    • 双手礼(最敬礼・屈体75度)
      同輩に対する深い礼、目上の人にも使う礼。拓手礼からさらに屈体し、両手の感覚が狭くなった礼

    ※本来は5~9の種類の座礼が有ります。

●空手式礼法・・・十字礼/座礼/押忍

稽古では正座する時には拳を握り、立礼をする際も十字礼と言われる所作を行います。
十字払いの受け技の意味合いは「謙虚」な心を表します。

  • 押忍の精神
    由来は「おはようこざいます」が簡略化され、「オス」が残ったものです。
    そこに「押して忍」(自我を抑えて我慢するの意)の漢字を当てたものといわれています。
    または藩校において厳しく躾けがなされていた、若い青年武士達が、お互いを励ます意味で使われていたそうです。
    武道関係はこちらの説が有力です。
    極真空手の押忍は「尊敬・感謝・忍耐」の精神が集約されており、心身の鍛錬と同時に、礼節を重んじることを意味しています。

●護身に繋がる礼儀作法

礼は決まりではなく人間の良識から発生する『ものの道理』です。
作法とは「自分の立場を知り」「周囲に不快を与えない」ことです。それは、人を「困らせない」、「怒らせない」、「淋しがらせない」、「心配させない」、「手数をかけさせない」、「いやがらせない」、「恥をかかせない」、「当惑させない」などを言います。
何が相手にとって「不快」かということを理解するには、相手の立場になって考えてみるという意識の切り替えが必要です。
「礼儀作法」とは身の処し方の知恵ともいえます。
不作法が対立を生み危険を招くということを理解すれば、礼儀作法は、レベルの高い護身術(心得))にもなります。

伝統稽古(基本・移動・型)

空手の基がつくられた沖縄では単独の型稽古だけが行われていました。
基本稽古、移動稽古、そして組手などの練習方法は、日本本土で普及していく過程で加えられたものです。
基本稽古では「基本的な姿勢」をつくりなから理にかなった身体の使い方を学びます。
移動稽古は「下半身の鍛練」と「重心の移動」。型では「呼吸法」と「身体の転換方法」を習得します。
伝統稽古は想像力(イメージ)を伴う反復練習の中で忍耐力を磨きながら潜在能力を引き出すための稽古方法といえます。
基本的な身体の動かし方が出来るようになれば、それを組手などにも応用していくことが出来るようになります。

空手道の歴史

沖縄古来の武術「手(ティー)」と、中国伝来の「拳法」が融合し発展したものが空手の原型と言われています。
この頃は流派と呼ばれるものはなく、型の特色・伝承地名等にちなんで首里城を中心に発達したのを「首里手」、那覇港周辺に発達したものを「那覇手」と呼ばれていました。
極真空手の型の多くは創始者である大山総裁の体験的な思想により改変が行われています。
異なる系統の型を学びやすくするために、立ち方や手技などを統一して指導する必要性があったからではないかと推測されます。
多くのフルコンタクト系の流派が型不要論を唱えるなかで、大山総裁は型の重要性を語っていたといいます。

●首里手

「首里手」は、中国の北方の地方で栄えた中国北派拳法の影響を強く受け、その技は柔軟性を重視し、遠い間合いからの直線的でスピーディーな攻撃を主体としています。
首里手の流れをくむ舩越義珍(ふなこし・ぎちん)先生が、演武会で空手(唐手)を披露したのは大正11年。
同年、本土に移住し「松濤館(しょうとうかん)」という道場を開きます。
後に慶応義塾大学に空手部を創部。
これがきっかけとなり各大学に次々と空手部が誕生します。
舩越先生は大山総裁が最初に空手を学んだ人物です。

●那覇手

東恩納寛量(ひがおんな・かんりょう)先生が中国の福建省におもむいて達磨大師を発祥とする中国南派拳法を学び、帰国後に指導を行うようになったのが「那覇手」の始まりと言われています。
その直弟子の宮城長順(みやぎ・ちょうじゅん)先生は、中国で中国拳法を修行するように命じられ、多くの武術の達人達から学ぶとともに、古い文献、書籍などを研究しやがて剛柔流をあみ出しました。
大山総裁は、宮城先生の直弟子にあたる、山口剛玄先生に剛柔流を学びました。

伝統型一覧

基本型

原型は首里手系

本土に空手を伝えた近代空手の祖・船越義珍師範を開祖とする松濤館流で入門型として制定された。シンプルな構成により前屈立ちの移動と転身を集中して鍛錬出来るように工夫されている。

原型は首里手系

中段突きと上段突きの角度の違いを明確にすること。上段を意識するあまり身体が前傾したり、肩が上がったり、腰が浮いたりしないよう注意が必要。

原型は首里手系

後屈立ち内受けの動作が加わることで難易度が高まっている。左右の相手に対する後屈立ち中段内受けは腰が落ちた正確な後屈立ちの姿勢を作れるように繰返し修練することが肝要。

極真オリジナルの型

動作の一つ一つを呼吸に合わせ、素早く直線的に動く場合でも、その中に柔らかさと曲線的な動作をイメージすることである。特に掌底受けから弧拳受け、手刀打ち込みの部分は修練が必要。

原型は首里手系

空手中興の祖であり「拳聖」と称された糸洲安恒師範が中等教育の指導用の型として考案し、明治37年に発表したもの。首里手系の流派で基本型として普及している。

原型は首里手系

独特の構えによる受けからの騎馬立ち追い突きまでの連絡技や逆受けからの蹴りと突きの連続攻撃など特徴のある動きが多く、難易度は高い。

原型は首里手系

歩いている最中に突然攻撃された場合や、いきなり背後から抱き着かれた場合の対処など護身のための技術を中心にして構成された実用性の高い型である。

原型は首里手系

横蹴りから肘打ち、手刀打ちから前蹴りと裏拳打ちの連続、前蹴りから連続突き、相手を掴んでの膝蹴りと蹴り技を絡めた連続技を中心に構成された実践的な型。

原型は首里手系

跳躍動作が登場。外回しから肘打ち、下段十字受けからの連続技、型の最後の下段手刀打ちからの連絡技など、これまでのどの型よりも難易度の高い技を中心に構成されている。

呼吸法の型

原型は那覇手系

鍛錬型の一つ。三戦立ちによる統一体を作り、腕力だけに留まらない武道的な力、または技術を身につけるための型。

原型は那覇手系

加齢と共に衰えない体の作り方、鍛え方にあたるのが「三戦」の型であり、体の使い方を学ぶのが「転掌」。「剛の三戦」「柔の転掌」とも呼ばれる。

応用型

極真オリジナル

ほぼオリジナルである撃砕大とは異なり、大幅なアレンジが加えられた極真空手独自の型。斜め方向への横蹴りの三連続などもあり、短いながらも難易度は高い。

原型は那覇手系

剛柔流の流祖である宮城長順師範によって昭和十年代に国民普及型として制定された。空手の基本動作を万遍なく身に付けることの出来る型である。

原型は那覇手系

那覇手中興の祖・東恩納寛量師範が中国福建省で修行ののち持ち帰ったとされる型の一つ。多彩な立ち方や運足、接近戦の技術が多く含まれている。

原型は那覇手系

原型は剛柔流であるが大幅にアレンジした極真オリジナルの型。

極真オリジナル

極真空手が得意とする上段回し蹴り、上段後ろ回し蹴りといった蹴り技と大山総裁が好んで使用していた猫足立ちでの弧拳受け、掛け受けなどから構成された極真空手独自の型。

原型は那覇手系

那覇手中興の祖・東恩納寛量師範が伝えた型の一つ。緻密な手技の連続技が多数含まれており、難易度は高い。騎馬立ちで行う動作が多く、足腰の鍛錬型としても使用できる。

原型は首里手系

旧名を公相君(こうそうくん、クーサンクー、クーシャンクー)という首里手を代表する型の一つ。四方に敵を想定した素早い転身と変幻自在で多彩な攻防技が特徴。

原型は首里手系

極真空手最高峰の型。
※極真の中でも数パターン存在する

型は身体の使い方を学ぶ鍛練法

沖縄の先生方は「伝統型は実践に使うものというより、身体の有効な使い方を学ぶための訓練である」と言われます。
空手だけでなく、古伝武術の型に共通していることは、無駄な動作を省くことです。
動きを簡潔なものにして、相手には自分の動きを見えないようにする。
相手から見えなくなる動きの習得こそが古伝の型の技術的な目標といえます。
型稽古の意義を要約すれば、姿勢 (正中線) と重心 (丹田)を保つよう意識しながら、自己の身体の強化と活用法を学ぶために行います。
それは、空手という武術を使いこなすための心体を養うということを目的として行われるものです。
型の稽古を継続して行くと一見単純に見えていた動きの中に複雑な要素が存在することを発見し、武道の奥深さをしる事ができるでしょう。

組手稽古

組手稽古とは安全を考慮して制定された競技ル-ルを基にお互いが、技を学びあう稽古方法です。
自分の技を向上させるとともに相手の戦い方やプレッシャー、周囲の状況に左右されない心理的な対処法を学びます。
又対人練習を通じて礼節を身につけるとともに、向上するために必要な積極的な努力(創意工夫)や決断力を養うことが出来ます。
沖縄では、一般的には自由組手は行われていませんでしたが、各流派の指導者が本土に移住した際、互いの技の交流を通じて攻防などの研究がおこなわれ、やがて競技試合がはじまりました。
組手試合の競技ルールを大きく分けると、相手に当てない「寸止め」方式と、直接打撃制があります。私たちが行っている組手試合のルールは極真空手の創始者である故大山倍達総裁が発案した直接打撃制の競技方法を基にしたものです。

競技(組手)試合の意義

組手試合とは審判員の協力のもとでルールを守り、相手を尊重しながら競い合い、お互いが精神面と肉体面、技能面を鍛えることを目的としています。
それは勝敗や痛みに対するプレッシャーを感じる場面で相手(本当は自分)に勝つという目標に向かって行われるものです。
競技試合の良い点は、勝負における集中力や胆力の養成と目標に向かって努力するための積極的な努力や忍耐力を養うことができることです。
試合場で実力を発揮するには精神的に自信を持つこと、平常心で試合に臨むためのメンタル面やコンディションつくりなどの工夫が大切です。
試合に出場するからには勝ちたいと思うのは当然ですが、実力を発揮するためにはメンタル面の強さが必要です。
恐怖心やプレッシャーを感じてしまうと、実力を発揮できなくなりますが、怖いとい体験をすればするほど、様々な場面で冷静に落ち着いて的確に対処できるようになります。恐怖心は対象に慣れていないから起こる現象だからです。
つまり平常心、不動心という境地に到達するためには、緊張する場面を数多く体験することは理にかなっているのです。
但し、日常生活に必要な正義感、寛大さ、温厚、公正、謙譲、沈着、優しさ等は・・・競技試合(自分の稽古)をしていれば養われるというものではありません。
これらの徳目は様々な人間関係の中で会得するべきものといえます。

組手形

組手を行う際は、自分自身の姿形、立居振舞い、所作(礼法)、技や動作の形などを正しく行うようにします。理合いの伴った構え、間合い、呼吸、拍子、打突の機会、技や動作の正しい形(フォーム)を基に、個々の心身の特性(特徴)を活かした組手の形(技や動作の構成)などの完成を目指します。
組手稽古は「真善美の調和」を会得するための修練の機会と考え、水が高い所から低い所へ流れていくかのごとく、無駄なく、淀みなく、力みなく、自然にものごとが流れていく、自然の理を体現することを目指します。
稽古では下記の「十三の心得」をバランスよく養い修練するという意識が大切です。

【組手形の理法】

●組手形「十三の心得」・・・組手形の指導要項と着目点
  1. 立居振舞い(立ち姿)
  2. 礼法(日本式礼法、空手式礼法)
  3. 構え(正しい構え)
  4. 呼吸(安定した息づかい)
  5. 間合い(的確な間合い)
  6. 立ち位置(有利なポジィション)
  7. 拍子(技や動きのリズム)
  8. 勢い(技や動きの勢い・気勢)
  9. 機会(的確な打突の機会・タイミング)
  10. 気合(強い気持ちと発声、高い集中力)
  11. 技の形(バランスの良い形・フォーム)
  12. 技の組立て(攻め技、応じ技、体さばきの構成)
  13. 精神力(気迫・集中力・忍耐力)

稽古の目的!!

空手とは何?と聞かれた時、どう答えることが出来るでしようか?
例えば、「テニスとは?」と尋ねられれば、「コート中央に張られたネットを挟んで、ラケットで交互にボールを打ち合う競技」と答えれば、ほぼ間違いありません。
では「空手道とは、どんなものですか?」と問われて、「コートの中で、素手で突きや蹴りで互いが身体を打突し合う競技。」と答える人は余りいません。
つまり、空手(武道)=競技とは言えません。
日本武道協議会が提唱している武道の定義を要約すると「我が国で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化」、「心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道」と定められています。
武道の「武」という文字は矛を止めるという意味。
「道」とは宇宙自然の普遍的法則や根元的実在、道徳的な規範を意味する言葉で、果てしなく続くという意味でもあります。
つまり、『武道』とは、身を守る術を収めるための道徳的な規範ということです。
稽古には、それぞれ修得すべきテーマ(目的)があります。「伝統稽古」では身体の使い方をはじめ潜在能力を引き出す方法を学び、「組手稽古」では、ルール内における技術レベルの向上と心理的なプレッシャーへの対応、積極性を学びます。
空手道の稽古では、【伝統稽古】と【組手稽古】という二つの稽古を正しく理解し、それぞれの不足部分を補いながら「技術の追求」に励み、やがて何事にも動じない、「不動心」や「平常心」といわれる境地を目指します。
日本武道人育成会極真会岡山県本部の道場の理念は『空手道を通しての人間形成』です。
他人の評価や競技試合の勝敗といった結果だけを追い求めるのではなく、人間的な成長を第一に考えて稽古を行っています。

NBMA 日本武道人育成会 極真会館岡山県本部
NBMA 日本武道人育成会 極真会館岡山県本部
Copyright © NBMA 日本武道人育成会 極真会館岡山県本部 All Rights Reserved.