所属:南方道場
入会年月日:2004.02.09
昇段日:2022.03.06
18年前に入会。怪我や家庭の事情などあり暫く稽古に参加できない時期もありましたが、3年程前から昇段を視野にいれて稽古に復帰。南方道場だけでなく、高島、野田、妹尾など時間を作って稽古に参加。二人のお子さんも入会し互いに刺激しあいながら稽古に励んでいます。これからも後輩のよき模範として精進してもらいたいと思います。
今後も空手を楽しみつつ、自分を磨き成長させていく
この度、長年目標としてきた昇段を果たすことが出来ました。私が入会したきっかけは、当時「死ぬまでにしたい10のこと」というタイトルの映画があり、鑑賞はしていないのですが、この言葉について「今の人生が、ある瞬間に終わるとして、その時自分は良い人生だったと心の底から思えるか?やり残して後悔することはないか?」と考えました。自分が人生でやり残していること。それは、「強くなること」と頭をよぎりました。そう思ったきっかけは、子どもの頃に起きたある出来事でした。
それは、中学生の時のことです。一つ上の学年にヤンチャな人が多く、その人たちに絡まれることも度々ありました。そんなある日、同じ学校にいる二つ年上の従兄弟が、ケンカを仕掛けてきたヤンチャな5人組をたった一人で返り討ちにしてしまったという話を母から聞きました。その従兄弟は、小さい頃から武道を習っていたのですが、日頃はとても温厚な性格で、誰にでも優しく、ケンカをするようなタイプではなかったのでビックリしました。それから絡まれることもなくなり、従兄弟の強さに凄く憧れを持ちました。その強さへの憧れを10年近く経った24歳の私も持ち続けていたのです。
「強くなる」と一念発起し、空手を習うことを決めました。よく読んでいた雑誌の広告欄に道場生募集の広告があったのを思い出し、極真空手に入会することにしました。それまで全くスポーツ経験のなかった私にとって、空手を習うということは、人生において最大級の決心でした。組手で痛いと感じることや、きついと思うこともありましたが、先生や先輩が丁寧に教えてくれ、少しずつ上達しているのが実感でき、充実感を得られました。
入会から5年間は仕事が休みの日には、岡山市内だけではなく、倉敷や総社、津山の稽古にも足を運び、昼間はジムやプールに通い、体力と筋力の向上に努めました。大会にも意欲的に参加し、何とか茶帯一級にまでなりました。
そんなある日、仕事中に右足のアキレス腱に大きな怪我をしてしまい、痛みがあり、思うように動けなくなってしまいました。少しずつ稽古から足が遠のき、結婚して子供が生まれ、他の趣味に没頭したため10年近く稽古に通わない日々が続きました。妻からは「月謝が勿体ないから辞めたら」と言われましたが強くなるという目標は達成していないし、子どもたちにとっても強い父親でありたいと思っていたので必ず空手を再開すると心に決めていました。
3年ほど前に本格的に再開しましたが体は固くなり体重も増え、体力や筋力は落ちてしまい休んでいた10年という年月の長さを痛感しました。それでも週に1回は必ず稽古に行き今度は絶対に昇段すると心に決めました。再開してから南方道場の稽古に参加することが多くなり中川会長師範に指導していただくことが多くなりました。私は組手も型もまるっきりダメで先生に「組手も型もクセが強すぎる。正しい構え、動きを身に付けなさい」とご指導いただき、その日から先生に指摘されたことを必ずメモし自主練や次の稽古で修正するということを続けました。
組手も相手の動きなどはお構いなしで好きなように技を出し、蹴りの受けなど全く出来ませんでした。しかし、動作合わせで組手稽古を続けていくうちに少しずつ相手の動きが見えるようになり、受けが出来るようになってきました。ここに隙があるなとか、このタイミングで技を出すと相手は受けられないな、ということが少しずつ分かるようになってきました。
そして何より、先生から上達してきたと声をかけていただけるのが励みとなり、空手が本当に楽しいと感じるようになりました。上達を実感出来ていることも要因の一つですが、ある日練習仲間の加藤さんに「教えるのが上手い」と言ってもらえたことで人にきちんと教えられるレベルになりたいと思うようになりました。それが新たな目標となり、稽古にやり甲斐を感じたことで、空手が一層楽しいと感じるようになりました。指導出来るレベルになりたいという目標が出来たことで、いつしか私にとっての昇段は最終目標ではなく、一つの通過点として考えるようになりました。
そして、昨年の12月に昇段一次審査の受審許可をいただき、その1週間前に行われた型試合にも出場しました。型についても稽古の中で教えていただいたことを徹底的に反復練習しました。そうして迎えた型試合は、かなり緊張してしまい、いつも通りには出来ませんでしたが4位入賞を果たすことが出来ました。
昇段一次審査でも緊張してしまい、型を間違えるなどしてしまいましたが、これまで自分なりに精一杯頑張ってきたこともあり、その充実感から審査自体を楽しかったと感じることが出来ました。
3月の二次審査の組手では、これまで稽古でやってきた体を崩さず綺麗な形で受けや技を出すことを課題としていました。日頃の稽古では意識してやっているものの、いざ試合組手となり相手を前にすると焦りが生じてしまい納得のいく組手が出来ませんでした。今回もただガムシャラに組手をしてしまいました。こちらも型と同様に練習と経験がまだまだ足りていないことを実感しました。
審査の内容は決して満足のいくものではありませんでしたが、日頃の稽古姿勢や私の空手への思いが先生方に届き合格させていただけたのかなと感じました。振り返ってみるとこれまでの人生の中で、これほど長い年月をかけて頑張って成し遂げたことはありませんでした。黒帯というのは私の人生においてかけがえのない努力の結晶です。昇段するにあたって型も組手も未熟でまだまだ自分が納得のいくレベルには至っていないことを再確認しました。これまでご指導していただいた中川会長師範を始め諸先生方、一緒に稽古に励んだ仲間、いつも支えてくれた家族に心から感謝いたします。
人に指導出来るレベルになるという新たな目標も出来、子どもたちも空手を習い始めたので良き見本となれるような人間でありたいとも思います。まだまだ達成させたい目標が山のようにあります。今後も空手を楽しみつつ、自分を磨き成長させていきたいと思います。いつかこの命が尽きる際に心から良い人生だったと思えるために。